物語

サーカス

エーテルレンズ大サーカス

エーテルレンズ大サーカスの、一千枚のレンズと三千枚の鏡を使った出しものは、万華鏡のような美しさだと評判です。

団長が機械を操ると、手のひらにのるゾウが天幕を飲み込むほどに大きくなり、
女奇術師の手もとからは花とカードとハトが舞い、
双子は百対の双子となって二百の炎を噴き、
百面相の少年は客席に現れては消え、
わたしとよもぎの空中ブランコは、星の間を行き来するほどに大きく揺れるのでした。

団長とペンギーテース

エーテルレンズ大サーカスの団長は、いつも首に、光る猫のペンギーテースを巻きつけています。
 
ペンギーテースはとってもきれいな猫なんだ! と団長は自慢をするのですが、光があんまり強いので、わたしはペンギーテースのすがたをちゃんと見たことがありません。
ペンギーテースはいつも青白くぱちぱちと燃えるように光っているので、そのひかりで団長の顔もまったく見えないほどでした。
わたしは今でも、本当に団長に顔があったのかもわからないのです。

女奇術師

女奇術師の芙蓉さんは、百羽のウサギをみんな団長の帽子の中に入れてしまいました。
ウサギの世話をしなくてもいいの?とたずねると、芙蓉さんは、大丈夫なのよと笑うのです。

昨日の夢のはなし

昨日、おかしな夢を見ました。

私のおかあさんは私よりすこし小さな女の子で、
白い犬といっしょにサーカスで暮らしています。

そして私は、そのサーカスで、きっと誰かと出会うのです。
そんな予感がするのです。

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